群青色の時間

遥かなるマスター・オブ・ライフ<人生の達人>への道

西加奈子「こうふく みどりの」「こうふく あかの」

2月9日に大阪城ホール新日本プロレスを観に行きます。
プロレスの知識はほとんどないに等しいのですが、熱烈なカープファンとして知られる内藤哲也選手の試合を一度観たいと思っていました。
以前、フジロックフェスティバルで夜中にプロレス団体が特設のリングで試合(多分、プロレスの中ではアトラクション的要素が強いもの)をしているのを少し覘いたことがありますが、自分でチケットを買ってプロレスの興行を観るのは初めてです。
どんなテンションで観戦すれば良いのかわからないので、ちょっとネット上の動画等を観て予習しておきたいと思います(笑)。

作家の西加奈子さんはプロレスの大ファンで、インタビュー等でもよくプロレスの魅力について話していらっしゃいます。
小説「サラバ!」で直木賞を受賞された際の記者会見でもプロレスについて述べられていたのが印象的でした。
恐らくプロレスの話を振った質問者は、「女性作家の意外な一面」的なものを期待したのかと思います。
しかし西さんはプロレスに対する100%のリスペクトをもって答えており、しかもそこから文芸界の現状にも結び付けて語られていて、非常に興味深いものでした。

「こうふく みどりの」と「こうふく あかの」はほぼ同時期に発表された作品で、メインのストーリーと謎の人物達が登場する別の話が交互に展開されるという構成も似通ったところがあります。
いずれの作品にもプロレス絡みの物語が綴られているのも共通点です。
私もそうですが、これらの小説を読んでプロレスに興味を持った読者も多いのではないかと思います。

上に直木賞の受賞会見の話を書きました。
ネット上でも西さんのインタビューやトークが色々聴けるのですが、本当に面白いです。
なるほど、こういう感性の人だからああいう小説が生まれるのか、ということも納得してしまいます。
現代は作者のキャラクターを踏まえて文学作品を味わうことができるという点で、多面的な楽しみ方ができるのが良いですね。

こうふく みどりの (小学館文庫)

こうふく みどりの (小学館文庫)

 
こうふく あかの (小学館文庫)

こうふく あかの (小学館文庫)