群青色の時間

遥かなるマスター・オブ・ライフ<人生の達人>への道

榎本武揚(北海道小樽市)

f:id:soja_88:20200322112210j:plain

英傑揃いの幕末・維新期の人物の中で、榎本武揚はあまり人気があるというイメージがありません。

幕臣で新政府軍にたてついてたくせに、しれっと明治政府に収まってんじゃねえよ、という大きなお世話感もなくはない空気はありますね。
サッカーで言えば、J1クラブに所属していた選手がJ2クラブとの入替戦で敗れてJ2降格が決まったかと思うと、涼しい顔をして次のシーズンからその相手チームに移籍している、という状況でしょうか。

比較的若くして悲劇的な死に方をすればレジェンド扱い、という勝手な風潮を踏まえた観点でも、榎本はそれに当てはまっていないので、それも不人気の一因かもしれません。
坂本龍馬西郷隆盛高杉晋作近藤勇土方歳三あたりは代表的なレジェンドの方々です。
ただこれは、英雄的な描き方をしてくれた小説やドラマがヒットしたか否か、ということとも大いに関連性があると考えられます。

私は四国出身ということもあって昔から龍馬推しなんですが、小説や漫画やドラマで描かれる「坂本龍馬」という人物は、もはや架空のキャラクターに近いと思っています。
史実を元にしてはいるでしょうが、人物像のイメージを含めてかなり脚色されたものでしょう。
他の人物も多かれ少なかれそういうところはあるはずです。
そういう意味では、榎本武揚はいわゆる盛った描き方をあまりされてこなかったとも言えます。

榎本武揚は語学を始めとする幅広い学問に精通した人物だったので、それを高く評価されて新政府も重用したのだと思います。
箱館で命を落とさず生き延びたことで日本の近代化の一翼を担ったわけなので、人気なんてなくても歴史上重要な人物であることに違いはありません。

<2018年12月撮影>