前畑秀子生誕の地、和歌山県橋本市
日本女子初の五輪金メダリストである前畑秀子さんについて、このブログでも何度か紹介してきました。
ちょっと前のことになりますが、9月に前畑さんの出身地である和歌山県橋本市に行ってきましたので、今回はその報告をしたいと思います。
そのうちブログに書かないとなー、と思いながらサボっていたところ、先週橋本市役所から小包が届きました。
実は私が橋本を訪れたのは、「前畑がんばれ祭り」というイベントの開催期間中で(大河ドラマ「いだてん」で前畑さんの活躍が描かれるタイミングに合わせたと思われます)、その一環でスタンプラリーが行われておりました。
5か所でスタンプを集めると、橋本の特産品が当たる抽選に応募できるとのことで、私も参加させていただきました。
幸運にもそれが当たったわけです。
いただいた商品はこちらです。
「ひねキングカレー」と「スカッと柿酢!!」
ひねキングカレーに使われている「ひねどり」というのは親鳥のことだそうです。
橋本は鶏卵の生産が盛んな町ということで、親鳥も名物としてPRしているようです。
パッケージのニワトリのキャラクターが、昔ジャンプでやっていた漫画「燃える!お兄さん」のダックくん感があります(古)。
それから、柿も橋本の特産品ですね。
橋本市役所様、ありがとうございます!
さて、今回は大阪から電車で橋本を訪れました。
南海電鉄高野線の急行だと、南海難波、新今宮、天下茶屋から乗ると、所要時間は大体45~50分強といったところです。
駅の正面上部に、兵藤秀子(兵藤は結婚後の姓)さんを紹介するパネルが掲示されています。
右側は、同じく橋本市出身の水泳選手で、1956年にメルボルン五輪の男子200メートル平泳ぎで金メダリストとなった古川勝さんのパネルです。
ちなみに、古川さんと前畑さんの家は20~30メートル程度しか離れていなかったそうです。
そんな狭い範囲から五輪の金メダリストが2人も出るとは驚きですね。
男女の違いはあれ、金メダルを獲得した種目も同じ200メートル平泳ぎですが、古川さんは前畑さんに薦められて平泳ぎに専念するようになったと言われています。
古川さんが前畑さんがベルリン五輪で金メダルを獲得した1936年生まれだというのも何やらロマンを感じさせます。
橋本市は和歌山県の内陸、県の北東部にあり、大阪府や奈良県と接している町です。
市の中央部に紀の川が流れており、前畑さんは幼少の頃よりここで水泳に親しんだわけですね。
前畑さんの生家があった場所に行くと、そこは紀の川のすぐそばで、いつでも泳ぎに行ける環境だったことがわかります。
下の写真は、豆腐屋を営んでいた前畑家があったという場所の付近で撮影したものです。
郵便局(橋本古佐田郵便局)の向かって左にある空き地の前方から道路の中央あたりにかけてがお家だったそうです。
当時の前畑家の前にあったのはもっと細い道だったそうですが、この写真で見た方向で言うと、道の右側が拡張されて現在のような道路になったとのことです。
前畑家跡地の近くに「飛び込み岩」と呼ばれる、川に突き出た大きな岩があります。
この岩から、たくさんの人達が次々に紀の川に飛び込んでいたのでしょう。
現在は上流にダムができているために水量が減っていますが、かつての紀の川はこの数倍の水を湛えていたといいます。
当時の水の豊かなその景観は、橋本の町のシンボルの一つであっただろうと思います。
そして、前畑秀子さんの出身地として橋本を見物に来たら、この「前畑秀子資料展示館」は外せません。
写真、新聞記事、賞状、卒業アルバム等、貴重な展示に釘付けになります。
展示されている賞状には、「兵藤ヒデ子」と記されているものがありました。
資料館の方によると、戸籍上は「ヒデ子」という表記だったそうです。
この資料展示館で、昨年まで「広報はしもと」で連載されていた「前畑秀子ストーリー」全33話をまとめた小冊子をいただきました。
東海学園大学講師の木村華織さんが執筆されたそうで、読み応えがあって素晴らしい文章です。
というわけで、前畑秀子さんの生誕地、橋本のご紹介は以上です。
実際に橋本という町に行ってみて紀の川を眺めると、前畑さんがここで泳いで水泳の力を培ったのだということを実感することができます。
まだ日本に水泳用のプールが普及していなかった時代、その自然環境が後の五輪選手の排出に繋がったというのは興味深いところです。
ウィンタースポーツの選手は雪の多い地域から多く生まれるわけですが、かつては水泳も水に恵まれた土地から好選手が育っていったというのは当然と言えるのかもしれません。
そういった環境の地に、努力する才能を持った人が現れるという奇蹟。
歴史の中の偶然の要素はあまりにもドラマチックです。
今年、大河ドラマ「いだてん」のおかげで、前畑秀子という人物の存在が令和の時代になってまたクローズアップされたというのは嬉しい出来事でした。
「いだてん」の放送も残り2か月となりましたが、最後まで楽しみに観たいと思います。