内田康夫「しまなみ幻想」
そこで今日は今治を舞台にした小説を取り上げてみたいと思います。
2002年に発表された「しまなみ幻想」。
今年の3月に亡くなった作家・内田康夫さんの浅見光彦シリーズのうちの1冊です。
今治と広島県の尾道を島伝いに10本の橋で結ぶ西瀬戸自動車道は、「瀬戸内しまなみ海道」という通称で知られています。
ちなみに、このブログのタイトルのバックの画像は、このしまなみ海道の来島海峡大橋の写真です。
吊り橋が3本連なっており、世界初の3連吊り橋、なんだそうです。
しまなみ海道は車やバイクだけでなく、自転車や徒歩でも渡れるため、近年はサイクリングやウォーキングのために訪れる人達も多く、特に自転車愛好家からはサイクリストの聖地とも呼ばれています。
開通前は地元でも「面白いけど歩きや自転車で島に行く人なんかおるん?」という声が聞こえていたものですが、全国どころか外国からもしまなみ海道を目当てにたくさんの人がやって来るようになるとは驚きです。
「しまなみ幻想」は、そんな時代が到来するとは、まだほとんど思われていなかった(少なくとも私は思っていませんでした)頃の作品です。
作中に登場する商店や旅館・ホテル等にはモデルになった施設が存在し、名前は違えど地元民なら「これはあそこのことだな」というのがわかります。
ということは、シリーズの他の作品でも同じように現地の人にはわかるポイントが仕掛けられているということでしょう。
内田先生のサービス精神なのかもしれませんし、一方では作品にリアリティを持たせる効果もあり、興味深いです。
個人的には、浅見光彦が今治名物の焼き鳥を食べに行くシーンに感動(笑)。
「ゴルゴ13」のデューク東郷は、香川に行ってもうどんを食べる場面はありませんでしたが、浅見さんはわかってますわー。