群青色の時間

遥かなるマスター・オブ・ライフ<人生の達人>への道

三代目桂米朝

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私が落語を聴き始めたのは20代の半ば頃でした。
ある本を読んで落語に興味を持ち、そのタイミングでたまたまNHK桂米朝師匠の落語会の放送を観て、その気品と威厳と機智に満ちた高座にKOされました。
その番組で最初にかけられていたのは「百年目」という大ネタでした。
大坂は船場の商家の旦那・番頭・丁稚から芸者や幇間まで職業の違う老若男女をナチュラルに演じ分け、川沿いに桜の咲き乱れる春景色を観客の眼前に構築する技術。
落語というのはなんと興味深い芸なのかと感銘を受けたものです。

その高座のマクラで米朝師匠が、最近喜寿を迎えたという話をされていました。
年齢的に大ホールのような会場での会はなかなか辛くなってきた、とも語られていました。
実際、その頃を境に比較的小規模な会を中心に活動されるようになっていったと記憶しています。

その後、幸運なことに私は数回、生で米朝師匠の落語を聴く機会を得ました。
声も弱々しくなり、ネタも短縮バージョンになるなどしていましたが、師匠の演じる姿を目の前で見られたということだけでもう何も言うことはありませんでした。

上方落語界初の重要無形文化財保持者、所謂人間国宝にも認定された桂米朝師匠は、2015年3月に永眠されました。

大阪の常打ち小屋である天満天神繁昌亭の舞台には、米朝師匠の手になる「楽」という書が掲げられています。
上方落語の巨星の魂は、今日も高座の上にあります。

 

特選!! 米朝 落語全集 第六集

特選!! 米朝 落語全集 第六集